ED治療のクリニックは、映像を使った診察で禁忌と服用中の薬を確認しているか、医師の氏名と所属を示しているか、保険が使えないことと総額の目安を示しているか、処方できない場合があると書いているかで確かめられます。2026年10月9日時点の厚生労働省の資料では、医療用のED治療薬は処方箋医薬品で、その成分のうち薬局で買えるのは要指導医薬品として承認されたタダラフィル製剤だけです。個人輸入した医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
「オンラインで手軽に処方してもらえるクリニックと、通販の薬や市販の精力剤は、何が違うの?」
ED治療は、不妊治療の一部を除いて保険が使えない自由診療で受けることになり、診察の進め方や料金の示し方、薬の受け取り方はクリニックごとに違います。受診する側が確かめたい点は、厚生労働省の指針や医薬品の添付文書から読み取れます。
この記事では、オンライン診療と料金表示で確かめたい点、個人輸入や海外通販の薬のリスク、市販の滋養強壮剤との違いを、公的資料をもとに整理します。
本記事の対象:ED治療などの男性向けの自由診療を、クリニックやオンライン診療で受けようと考えている方向けの記事です。
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本記事は特定のクリニックや医薬品を推奨するものではありません。
- 区分医療用のED治療薬は処方箋医薬品で、その成分のうち薬局で買えるのは要指導医薬品のタダラフィル製剤だけです
- 診察オンライン診療は映像を使って行い、医師は禁忌と服用中の薬を確認してから処方します
- 費用ED治療は不妊治療の一部を除いて自由診療で、標準的な費用と、別にかかる費用を含めた総額の目安を確かめます
- 個人輸入個人輸入した医薬品は品質が保証されず、健康被害が出ても救済制度の対象になりません
- 市販滋養強壮剤の承認基準の効能に勃起不全はなく、食品の精力剤は医薬品的な効能効果を表示できません
※ 本記事は医療機関の評価・順位づけを行うものではありません。
ED治療のクリニックは「安さ」や「早さ」で比べられることが多いのですが、受診する側にとって大事なのは、処方の前に何を確認してもらえるかだと私は考えています。この記事では、厚生労働省の指針に書かれている確認の項目を、受診前のチェックにそのまま使える形に並べました。
ED治療薬の入手経路と区分
ED治療薬の入手経路は、クリニックでの処方、薬局での購入、個人輸入の3つで、医薬品としての区分と、使う前に禁忌を確認する人が経路ごとに違います。
国内で承認されているED治療薬の成分は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルの3つです。医療用の製剤はいずれも処方箋医薬品で、添付文書の効能・効果は「勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)」です。添付文書には、催淫剤や性欲増進剤ではないことも書かれています。
| 入手経路 | 区分 | 使う前に確認する人 | 確かめたい点 |
|---|---|---|---|
| クリニックで処方を受ける | 処方箋医薬品(シルデナフィル・タダラフィル・バルデナフィル) | 医師 | 対面でもオンラインでも、医師が禁忌と服用中の薬を確認する |
| 薬局で購入する | 要指導医薬品(タダラフィル製剤) | 薬剤師 | 18歳以上が対象で、購入の前にチェックシートに回答し、薬剤師の確認と服薬指導を受ける |
| 個人輸入・海外通販 | 国内で承認された医薬品ではない | なし | 品質の保証がなく、偽造品の可能性がある。健康被害は救済制度の対象外 |
| 強壮系の健康食品 | 食品(医薬品ではない) | なし | 医薬品成分が検出された製品が、公的機関の調査で見つかっている |
※ 成分は一般名で記載しています。区分は厚生労働省・PMDAの公表資料によります。
オンライン診療で確かめる6項目
オンライン診療でED治療を受けるときに確かめる6項目は、映像での診察、初診の進め方、本人確認、医師の氏名と所属、禁忌と服用中の薬の確認、対面診療への切り替えです。
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、保険診療だけでなく自由診療にも適用されます。2026年4月1日に施行された医療法の改正でオンライン診療が法律に位置づけられ、指針の内容は省令に引き上げられました。次の6項目は、この指針の記載から、受診する側が確かめられる点をまとめたものです。
映像を使った診察か
初診の進め方が示されているか
本人確認を求められるか
医師の氏名と所属が分かるか
禁忌と服用中の薬を確認されるか
対面診療への切り替えが示されているか
指針は、勃起不全治療薬等を、禁忌の確認を行うのに十分な情報が得られていないのにオンライン診療だけで処方する例を、不適切な例に挙げています。一方で、指針のQ&Aは、医師がオンラインの問診で十分に医学的な評価ができると判断した場合に、オンラインの問診で禁忌を確認することは妨げないとしています。どちらの場合も、禁忌を確認せずに処方することはできません。
指針は初診のオンライン診療での処方について、麻薬・向精神薬を処方しないこと、基礎疾患などの情報が把握できていない患者には、特に安全管理が必要な薬剤や8日分以上の薬を処方しないことを定めています。
禁忌と服用中の薬の確認
ED治療薬の添付文書は、硝酸剤や一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジルなど)を使っている人への投与を禁忌としています。sGC刺激剤のリオシグアトを使っている人も禁忌です。心血管系の障害などで性行為が適当でないと考えられる人や、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞の既往が最近ある人なども、成分ごとに禁忌として挙がっています。
シルデナフィルの添付文書は、死亡例を含む心筋梗塞などの重篤な心血管系の有害事象が報告されているとして、投与の前に心血管系の障害の有無などを十分確認するよう警告しています。4時間以上勃起が続いた場合は、ただちに医師の診察を受けるよう、重要な基本的注意にも書かれています。
問診票の「服用中の薬」の欄は、薬の名前を正確に書くのが意外と難しい項目です。お薬手帳を手元に用意しておくと、オンライン診療でも伝え漏れを防ぎやすくなります。
自由診療の料金表示で確かめること
自由診療のED治療の料金は、保険が使えないことと標準的な費用が示されているか、診察料など別にかかる費用を含めた総額の目安が分かるかで確かめます。
厚生労働省の医療広告ガイドラインは、承認された医薬品を承認の範囲で使う自由診療を広告する場合、公的医療保険が適用されない旨と標準的な費用を併記することを求めています。標準的な費用は幅で示してもよく、服薬指導料などが別にかかる場合は総額の目安も示すこととされています。
- 保険が使えないことが書かれているか。自由診療である旨と標準的な費用が並べて示されているかを確かめます。
- 総額の目安が分かるか。診察料、薬代、配送料など、別にかかる費用を含めて計算できるかを確かめます。
- 「必ず処方」と読める書き方をしていないか。厚生労働省の事例解説書は、オンライン診療で処方箋医薬品を必ず受け取れるかのような表現を誇大広告の例に挙げ、医師の判断で処方できない場合があることを最低限書くよう示しています。
- 値引きを前面に出していないか。ガイドラインは「期間限定で50%オフ」「○○治療し放題プラン」のような費用を強調した広告を、品位を損ねる広告の例に挙げています。
- 定期配送の解約条件が書かれているか。国民生活センターは、AGA治療やニキビ治療などのオンライン診療で処方薬の定期購入をめぐる相談が目立つとして、解約の条件を事前に確かめるよう呼びかけています。公表された事例にED治療は含まれていませんが、定期配送の有無と解約の条件は同じように確かめられます。
料金表の「込み」と「別途」の見分け方は、美容クリニックの料金表、ここだけ見れば信頼度がわかるで扱っています。
保険が使える場合
ED治療薬が保険診療で使えるのは、勃起不全による男性不妊の治療として、一般不妊治療のタイミング法で使う場合に限られます。厚生労働省の通知は、関連学会のガイドラインに沿ってEDと診断されていること、患者またはパートナーが不妊治療の医学的管理を受けていることなど、7つの要件をすべて満たすことを条件にしています。通知で対象に挙げられている販売名は、バイアグラ錠・バイアグラODフィルムとシアリス錠です。
個人輸入・海外通販の薬のリスク
個人輸入したED治療薬は、国内で品質・有効性・安全性が確認された医薬品ではなく、偽造品の可能性があり、健康被害が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
厚生労働省は、個人輸入した医薬品には偽造品や不衛生な環境で作られた製品の可能性があることを示しています。個人輸入が認められるのは自分で使う場合に限られ、処方箋薬は用法用量からみて1か月分以内が目安です。輸入したものを他人に売ったり譲ったりすると、医薬品医療機器等法の違反のおそれがあります。
厚生労働省のQ&Aは、個人輸入代行業者が未承認医薬品の広告や発送などを行うことは違法な行為で、トラブルが起きても業者は責任を負わず、購入者の責任とされることを示しています。
| 資料 | 公表されている内容 |
|---|---|
| ED治療薬の製造販売会社4社の合同調査(2016年公表) | 日本語で運営される個人輸入代行サイトなどから入手した70検体のうち、28検体(40.0%)が偽造品だった |
| 厚生労働省の買上調査(令和6年度) | インターネットで販売されていた強壮系の健康食品10製品のうち1製品から、シルデナフィルが検出された |
| 奈良県の注意喚起(2011年) | 死亡した患者が持っていた、国内の正規品にない規格の模造品からシルデナフィルが検出された。死因と薬剤の因果関係を裏付ける情報は見いだせなかったとされている |
※ 4社調査の割合は、調査で購入した検体の中での割合で、流通しているED治療薬全体の割合ではありません。
偽造品は外見だけでは見分けられず、判定は成分分析で行われています。調査の数値の読み方と承認されている規格は、バイアグラの偽物を外見で見分けられるかを、承認規格と成分分析の調査から整理した解説で確かめられます。
クリニックでも、医師が個人輸入した海外の医薬品が使われる場合があります。医療広告ガイドラインは、未承認医薬品等を自由診療で使う場合に、未承認であること、入手経路、国内の承認品の有無、諸外国の安全性の情報、救済制度の対象にならないことを示すよう求めています。処方される薬が国内で承認された製品かどうかは、受診のときに確かめられます。
市販の滋養強壮剤・精力剤とED治療薬の違い
市販の滋養強壮剤は、承認基準で決められた滋養強壮や栄養補給などを効能とする医薬品・医薬部外品で、これらの承認基準の効能に勃起不全は含まれていません。
指定医薬部外品のビタミン含有保健剤の承認基準は、効能の範囲を「体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善」「疲労の回復・予防」などの5つに定めています。すでに承認された製品では、改正前の基準の「滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後…などの場合の栄養補給」の文言も見られます。一般用医薬品の生薬製剤の承認基準でも、ニンジン・コウジンなどの効能は「次の場合の滋養強壮:虚弱体質、肉体疲労、病中病後、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症」です。
一般用医薬品には、男性ホルモンを含む第1類医薬品のように、「勃起力減退」などを効能に含む製品もあります。市販の製品の区分と効能は、容器や包装の区分表示と添付文書で確かめられます。
いわゆる健康食品の精力剤は食品で、「精力をつける」「強精(強性)強壮」のような医薬品的な効能効果を表示できません。東京都の令和7年度の健康食品試買調査では、製品群「男性機能向上」の26製品のうち24製品に、いずれかの法令の違反または違反の疑いがありました。違反の可能性が高いと判断した製品を購入した結果で、市場全体の割合ではありません。調査全体では6製品から医薬品成分などの含有が疑われ、検出された成分にはタダラフィルやシルデナフィルが含まれていました。
薬局で買えるED治療薬
タダラフィルは、2026年5月20日に要指導医薬品として承認されました。厚生労働省の要指導医薬品の一覧に載っているED治療薬の成分はタダラフィルだけで、シルデナフィルとバルデナフィルは載っていません。製造販売元の案内では、購入の前に薬剤師が服用の可否を判断するためのチェックシートに回答し、店舗で薬剤師の服薬指導を受けて購入します。対象は18歳以上です。
厚生労働省の部会では、併用してはいけない薬や投与してはいけない病気が多いことから、薬剤師がチェックシートで確認する仕組みが議論されました。薬局で購入する場合も、服用中の薬と持病を確かめる点は処方される薬と同じです。
「精力剤」と「ED治療薬」は、名前の印象は近くても、制度の上では別の区分のものです。箱に書かれた「指定医薬部外品」「第1類医薬品」「要指導医薬品」といった区分表示を一度見てから選ぶだけでも、比べ方が変わると私は思います。
受診の前に用意しておくもの
ED治療の受診の前に用意しておくものは、服用中の薬が分かるもの、持病や既往歴のメモ、本人確認の書類、料金と解約条件の控えです。
- 服用中の薬が分かるもの。お薬手帳など、硝酸剤などの禁忌に当たる薬を飲んでいないかを医師が確認できるものを用意します。
- 持病や既往歴のメモ。心臓・血圧・脳の病気、肝臓や腎臓の病気、目の病気など、添付文書で確認の対象に挙がっている病気を書き出しておきます。
- 顔写真付きの身分証明書。オンライン診療の初診では、原則として顔写真付きの身分証明書で本人確認を行います。
- 料金と解約条件の控え。総額の目安、定期配送の有無、解約の条件を、予約の前に画面の保存などで手元に残しておきます。
- 医師の氏名と医療機関の問い合わせ先。診察を担当する医師と所属する医療機関の連絡先を控えておきます。
よくある質問
まとめ
ED治療の受診の前に確かめることは、入手経路ごとの区分、診察で禁忌と服用中の薬が確認されるか、料金の総額と解約の条件が示されているかの3点です。
- 区分を確かめる。医療用のED治療薬は処方箋医薬品で、薬局で買えるのは要指導医薬品のタダラフィル製剤だけです。
- 診察の進め方を確かめる。オンライン診療は映像を使い、本人確認と、禁忌・服用中の薬の確認を経て処方されます。
- 料金の示し方を確かめる。保険が使えないことと標準的な費用、別にかかる費用を含めた総額、解約の条件を見ます。
- 個人輸入のリスクを知る。個人輸入した医薬品は品質が保証されず、健康被害は救済制度の対象になりません。
- 滋養強壮剤と混同しない。滋養強壮剤の承認基準の効能に勃起不全はなく、食品の精力剤は医薬品的な効能効果を表示できません。
ED治療は人に相談しにくい分、手軽さだけで受診先を決めてしまいがちです。この記事のチェック項目を一つずつ確かめてから予約するだけでも、受診先の見え方は変わると思います。
本記事は、厚生労働省・PMDA・消費者庁・国民生活センター・東京都などの公表資料をもとに編集部が整理したもので、医師の監修は受けていません。診療の内容・料金・処方の方針はクリニックごとに異なり、変更される場合があります。本記事は特定のクリニックや医薬品を推奨するものではありません。受診や服用の判断は、医師・薬剤師との相談のうえで行ってください。
出典一覧
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月策定、令和8年4月改訂)
PDF - 厚生労働省「『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に関するQ&A」(令和8年4月改訂)
PDF - 厚生労働省 医政局長通知「医療法等の一部を改正する法律の一部の施行等について(オンライン診療関係)」(令和8年3月27日 医政発0327第5号)
PDF - 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)
PDF - 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」
PDF - 厚生労働省「医師等資格確認検索」
掲載ページ - PMDA「バイアグラ錠25mg・50mg、バイアグラODフィルム25mg・50mg」添付文書(2024年7月改訂 第8版)
添付文書等情報検索 - PMDA「シアリス錠5mg・10mg・20mg」添付文書(2024年11月改訂 第4版)
添付文書等情報検索 - PMDA「バルデナフィル錠「FCI」」添付文書(2026年3月改訂 第2版)
添付文書等情報検索 - 厚生労働省 保険局医療課長通知「不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて」(令和4年3月25日 保医発0325第7号)
PDF - 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
掲載ページ - 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」
掲載ページ - 厚生労働省「医薬品の個人輸入に関するQ&A」
掲載ページ - 厚生労働省「令和6年度『インターネット販売製品の買上調査』の結果について」
PDF - 奈良県「シアリス錠の偽造医薬品による健康被害に対する注意喚起(第2報)」(平成23年5月26日。厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット」掲載)
掲載ページ - ファイザー株式会社・バイエル薬品株式会社・日本新薬株式会社・日本イーライリリー株式会社「偽造ED治療薬4社合同調査結果」(2016年11月24日)
PDF - 厚生労働省「要指導医薬品一覧」
掲載ページ - 厚生労働省 事務連絡「要指導医薬品として指定された医薬品について」(令和8年5月20日。令和8年厚生労働省告示第220号)
掲載ページ - 厚生労働省「薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録」(2025年9月18日)
掲載ページ - エスエス製薬株式会社「シアリス」製品サイト
掲載ページ - 厚生労働省 通知「新指定医薬部外品の製造販売承認基準の一部改正について」(平成29年3月28日 薬生発0328第10号)別紙「ビタミン含有保健剤製造販売承認基準」
掲載ページ - 厚生労働省 通知「一般用生薬製剤製造販売承認基準について」(平成29年12月21日 薬生発1221第4号)
PDF - PMDA「一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索」
添付文書等情報検索 - 東京都「令和7年度健康食品試買調査結果」(2026年3月23日)
掲載ページ - 国民生活センター「ニキビ、AGA治療や痩身目的等のオンライン診療のトラブルにご注意」(2026年6月23日)
掲載ページ
情報の取得日:

